flos sapientia

ネギまのSSや詩を書いてます。

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暗くなった外を見ると
窓に私の顔がうっすらと描かれる。

流れる景色は小さな光がとても綺麗で、いつ見ても好き。

私は今電車に乗ってる。
2時間くらい前に

「今から行くからね、お父さん!」

と電話をして。

突然のことだったからお父さんは驚いてた。

何も用意できてない、とか
友達と過ごさないのか、なんて言っていたけど

「……今日くらいいいでしょ?」

そう言うと

「うん……そうだね。」

と優しく言ってくれた。

電話するまではもちろんみんなと遊んでた。

いつもの4人で。
とても楽しかったし、嬉しかった。

でもやっぱり家族と過ごす時間も欲しかった。

もう遅くなってしまったけど
少しでもいいから一緒に過ごしたかった。

それが出来たら
──もう何もいらないから。

「……お父さん。」

小さく呟いた言葉は
だんだん静かになる車内に少しだけ響いた。

窓の外の景色がゆっくりと止まる。



ホームを歩いて改札を出ると
そこに私を待っている人がいた。

その人も私に気付き、こちらへ歩いてくる。

「やぁ、裕奈。ちょっと急だったけど……
来てくれて嬉しいよ。」

お父さんは微笑みながら言った。

「ゴメンね!やっぱり今日は会いたくて……。」

「ううん、謝らなくていいよ。
僕も出来れば会いたかったから。」

久しぶりに会ったけど
やっぱりいつもの優しいお父さん。

それが何だかとても嬉しくて……
ちょっと泣きそうになって、慌てて腕に抱きつく。

「じゃあ、早く行こ!」

「こらこら、もう大きいんだから。
そんなにくっつかなくても……。」

「私がこうしたいからいいの!」

必死にしがみついたお父さんの温もりは
温かくて優しくて……。

また泣きそうになってしまう。


ああもう……なんでよ……。





お父さんの家に着いて、中に入る。
玄関からリビングまではとても綺麗だった。

「時間が無かったけど
ここだけは必死に片付けたんだ。」

お父さんは困った様に笑う。

「毎日きちんとしてればいいことでしょ?」

「はは、そうだね。」

「笑って済ませるなー!」

思わずツッコんでしまう。

相変わらずだらしないんだから……。



リビングに入って

「じゃあ、そこに座ってて。」

お父さんは奥へ行ってしまう。

私は座る前に、ゆっくりと部屋を見渡す。

時計の音だけが静かに響く中、
その中に1つの写真立てを見つけた。

「……。」

私はそこへ向かい、何も言わずにそれを手に取る。

少しだけ色あせた写真に
3人の笑顔があった。

私とお父さんと……

「お母さん……。」

最後に会ったのは
いつだったか覚えてない。

気付いた時には
もう会えなくなってた。

いつだって明るくて、元気で……
そしてとても優しいお母さん。
私はそんなお母さんが、大好きだった。


──また、会いたいよ……。

久しぶりにお母さんの顔を見たからか、
そんなことを思ってしまう。

それは、絶対に叶わない願いじゃない。
いつか必ず会える。
それは分かっているけど……。



もしも──



「……え?」

その先を考えようとしたら
急に私たちの笑顔が、下の方から滲んだ。

慌てて目に触れると、
その指先が少しだけ濡れて……。


あれ……もしかして、
私泣いて──


私はその場に、ぺたんと座り込む。

頬を伝う細い涙が
服へ落ちて、小さな輪を作る。

その輪が、少しずつ広がっていく。


私はどうして泣いているのか、
分からなかった。

分からないけど
とても悲しくて、切なくて……。



泣きじゃくる子供の様に
ポロポロと、ひたすらに泣いていた。



──会いたいって
思っただけなのに。

その思い──
願いが、強すぎて……


私はもう、何も見えなくなってしまう。


写真も、この目の前も、
……そして自分さえも──



その時、私は温もりを感じた。

それは、ついさっき感じた温もり……


そう、
お父さんのものだった。

何も言わずに、お父さんは私の手を握ってくれていた。

強く、しっかりと……でも、優しく。

それが、私をほんの少しだけ取り戻してくれて──

やっとのことで、私は言う。

「お父……さん……、ゴメンね……私……。」

自分の涙でぼやけて
お父さんの顔は見えなかった。

「ごめ……なさ……っ……。」

それ以上は言葉にならなかった。

涙が、また溢れてくる。


ごめんなさい……

ごめんなさい……


私は良く分からないまま、

謝ることしか出来なくて。


頭がぼうっとしていて

お父さんの声も聴こえなかった。

私は

ただ謝ることしか──


「…………っ!」

突然、私は何かに引き寄せられる。

そして、体の前の方が温かくなって……


「裕奈は、何も悪くない。
何も……。」


すぐ近くで、声が聴こえた。


「だからもう、泣かないで……。」


私は、抱きしめられていた。

手に温もりは残ったまま、
お父さんはもう片方の腕で私を
優しく、強く──



「……っ……お父さ……。」


涙が止まらなかった。


さっきの言葉を……
……信じることが出来たから。

そして……
……私が、私であれたから。


私はただひたすらに泣き続けた。

涙に身を任せて……

ただひたすらに──

-続く-
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